■動脈硬化につながる脂質異常症にはどう対応すればいい?
動脈硬化を防ぐ一番のポイントは、LDLコレステロールの酸化を抑制することです。
次に重要なのが、HDLコレステロールを増やしてLDLコレステロールと中性脂肪を減らし「脂質を正常化」することです。
中性脂肪を減らすことで、LDLコレステロールの小型化も抑制できる可能性があるのです。
では、活性酸素によるLDLコレステロールの酸化を防ぐ方法はあるのでしょうか?
活性酸素は喫煙や飲酒、酸化した食用油などによって産生されます。
また、紫外線を浴びても、激しい運動をしても活性酸素が生じるだけでなく、普通の呼吸で取り込んだ酸素の一部も活性酸素になります。
活性酸素は体内に侵入したウイルスや細菌を殺すという役割を担っているため、身体に悪いことばかりではないのです。
しかし、活性酸素が増え過ぎると問題が生じるのです。
まず活性酸素を抑えるためには、抗酸化物質を多く含む食品を摂ることが大切です。
3大抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれています。
トマトに含まれているリコピンや、ナスに含まれているアントシアニンなどの天然色素も抗酸化物質です。
また、赤ワインやお茶に含まれているポリフェノールも抗酸化物質です。
日頃の食事にこういった素材をプラスするのが、LDLコレステロールの酸化を防ぐのに有効だと考えられます。
今、さまざまな健康効果で注目を集めているココナッツオイルも見逃せない食品です。
ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。
中鎖脂肪酸はエネルギーとして燃焼されやすいため、体脂肪として蓄積されにくいことで脚光を浴びていますが、ココナッツオイルの良さはそれだけではありません。
中鎖脂肪酸が燃焼すると肝臓ではケトン体が作られますが、このケトン体が活性酸素を無害化することが明らかになっているのです。
HDLコレステロールを増やすには、まず運動が一番で、ウォーキングはその代表例です。
1日の歩数とHDLコレステロール値との関係を調べた結果、歩数が多いほどHDLコレステロールが増えるということがわかっています。
また、早歩きを組み込むと、運動強度も高まり効果的です。
歩数計や活動量計のなかには早歩き歩数をカウントしてくれる機種もありますので、そういった機能を活用するのも一つの方法です。
また、太ももの大腿筋やお尻の大臀筋など、大きな筋肉を動かすことで代謝をアップさせる有酸素運動は、コレステロール値の改善に向いていると考えられます。
サイクリングや軽めのジョギング、水泳、エアロビクス、ラジオ体操などがそれに当たります。
次にHDLコレステロールを増やすと考えられる食品を知っておくことです。
アジやイワシ、サバなど青背魚に含まれるDHA、EPAはHDLコレステロールを増やしてくれます。
それだけでなくLDLコレステロールと中性脂肪を減らしてくれるので一石二鳥です。
DHAやEPAは熱にはわりと強いのですが、魚を煮ると煮汁に溶け出したり、焼くと脂が落ちたりして20~30%前後が失われ、揚げ物にすると揚げ油に溶け出し半減するとも言われていますので、刺身や煮汁も食べられる煮魚にするといいでしょう。
また、EPAは空気に触れると酸化しやすいので、新鮮な状態を保つように注意しましょう。
エゴマ油やアマニ油に含まれているα-リノレン酸は、体内で10~15%程度がDHAやEPAに変換されると言われています。
これらの油を有効活用するのも一つの方法です。
ネギの刺激臭のもとであるアリシン、玉ねぎの硫化アリルはHDLコレステロールを増やしLDLコレステロールを減らすと考えられています。
また、大豆レシチンもHDLコレステロールを増やすとされています。
アルコールは適量ならHDLコレステロールを増やすと言われています。
しかし、適量というのはビールでは1日中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーはダブルで1杯程度。
この量でストップできる自信があるなら、試してみる価値はありそうです。
しかし、アルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪の合成を促進させてしまいます。
すると脂質異常症の原因になったり、LDLコレステロールの小型化を招いたりと、いいことはありません。
ちなみに中性脂肪を増やすのは揚げ物の油や肉などの脂質だと考えがちですが、実際にはほとんどが糖質とアルコールです。
糖質は、身体のエネルギー源となる重要な栄養素ですが、過剰摂取は禁物なのです。
また、オリーブオイルやアーモンド、マカダミアナッツなどに含まれているオレイン酸は、HDLコレステロールを減らさずにLDLコレステロールだけを下げると言われています。
ちなみにアーモンド100g中には、31mgという豊富なα-トコフェロールが含まれています※。
ビタミンEは4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールに分けられますが、そのなかでもα-トコフェロールは、非常に抗酸化作用が強い成分です。
また、乳酸菌とカテキンの両方を摂ると、LDLコレステロールが減るという報告もあります。
冒頭で挙げた「イカ、タコ、エビ、貝類」は、最近ではコレステロール値を下げるという説の方が主流になっています。
また、これらに含まれるタウリンの健康効果も無視できません。
卵は8種類の必須アミノ酸を含んでいるほか、卵黄に含まれるレシチンには血管を強くしたり、血中の余分なコレステロールの沈着を防いだりする作用があると言われています。
要するに、せっかくのごちそうである「卵がタップリ使われた“ふわとろ”のオムライス」や「イカやエビがふんだんに盛られた海鮮丼」を我慢する必要はない!
・・・と言うことです。
健康な人の場合はコレステロールの摂取量を気にしなくていい、というのが「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の趣旨ですが、高LDLコレステロール血症患者の場合に当てはまるわけではない、と日本動脈硬化学会は指摘しています。
厚生労働省もLDLコレステロール値が高い状態を危険視しているのは同様です。
ということは、高LDLコレステロール血症と診断されてはいなくてもLDLコレステロール値が上限に近い人はどうなのでしょうか。
やはり暴飲暴食を控える、運動不足を解消するなど、トータルでの生活習慣の改善が必要と考えるのが正しいようです。
具体的なポイント・・・
・アルコールや糖質の摂り過ぎを抑える
・食べ過ぎを控え、バランスのとれた食生活を実践する
・1日9000~1万歩程度のウォーキングなど、適度な運動を行う
・体重を適正に保つ
といった点に気をつけることが重要です。
「お腹いっぱいで幸せ」という状態は健康にとっては不幸せな状態かもしれませんし「スイーツは別腹」という言葉は封印したほうが無難でしょう。
体重に関しては、毎日同じ時間に量って推移をチェックするだけでも効果があります。
体重体組成計では体脂肪レベルを確認できる機種がありますので、併せて参考にするといいのではないでしょうか。
《《《 おわり!
動脈硬化を防ぐ一番のポイントは、LDLコレステロールの酸化を抑制することです。
次に重要なのが、HDLコレステロールを増やしてLDLコレステロールと中性脂肪を減らし「脂質を正常化」することです。
中性脂肪を減らすことで、LDLコレステロールの小型化も抑制できる可能性があるのです。
では、活性酸素によるLDLコレステロールの酸化を防ぐ方法はあるのでしょうか?
活性酸素は喫煙や飲酒、酸化した食用油などによって産生されます。
また、紫外線を浴びても、激しい運動をしても活性酸素が生じるだけでなく、普通の呼吸で取り込んだ酸素の一部も活性酸素になります。
活性酸素は体内に侵入したウイルスや細菌を殺すという役割を担っているため、身体に悪いことばかりではないのです。
しかし、活性酸素が増え過ぎると問題が生じるのです。
まず活性酸素を抑えるためには、抗酸化物質を多く含む食品を摂ることが大切です。
3大抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれています。
トマトに含まれているリコピンや、ナスに含まれているアントシアニンなどの天然色素も抗酸化物質です。
また、赤ワインやお茶に含まれているポリフェノールも抗酸化物質です。
日頃の食事にこういった素材をプラスするのが、LDLコレステロールの酸化を防ぐのに有効だと考えられます。
今、さまざまな健康効果で注目を集めているココナッツオイルも見逃せない食品です。
ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。
中鎖脂肪酸はエネルギーとして燃焼されやすいため、体脂肪として蓄積されにくいことで脚光を浴びていますが、ココナッツオイルの良さはそれだけではありません。
中鎖脂肪酸が燃焼すると肝臓ではケトン体が作られますが、このケトン体が活性酸素を無害化することが明らかになっているのです。
HDLコレステロールを増やすには、まず運動が一番で、ウォーキングはその代表例です。
1日の歩数とHDLコレステロール値との関係を調べた結果、歩数が多いほどHDLコレステロールが増えるということがわかっています。
また、早歩きを組み込むと、運動強度も高まり効果的です。
歩数計や活動量計のなかには早歩き歩数をカウントしてくれる機種もありますので、そういった機能を活用するのも一つの方法です。
また、太ももの大腿筋やお尻の大臀筋など、大きな筋肉を動かすことで代謝をアップさせる有酸素運動は、コレステロール値の改善に向いていると考えられます。
サイクリングや軽めのジョギング、水泳、エアロビクス、ラジオ体操などがそれに当たります。
次にHDLコレステロールを増やすと考えられる食品を知っておくことです。
アジやイワシ、サバなど青背魚に含まれるDHA、EPAはHDLコレステロールを増やしてくれます。
それだけでなくLDLコレステロールと中性脂肪を減らしてくれるので一石二鳥です。
DHAやEPAは熱にはわりと強いのですが、魚を煮ると煮汁に溶け出したり、焼くと脂が落ちたりして20~30%前後が失われ、揚げ物にすると揚げ油に溶け出し半減するとも言われていますので、刺身や煮汁も食べられる煮魚にするといいでしょう。
また、EPAは空気に触れると酸化しやすいので、新鮮な状態を保つように注意しましょう。
エゴマ油やアマニ油に含まれているα-リノレン酸は、体内で10~15%程度がDHAやEPAに変換されると言われています。
これらの油を有効活用するのも一つの方法です。
ネギの刺激臭のもとであるアリシン、玉ねぎの硫化アリルはHDLコレステロールを増やしLDLコレステロールを減らすと考えられています。
また、大豆レシチンもHDLコレステロールを増やすとされています。
アルコールは適量ならHDLコレステロールを増やすと言われています。
しかし、適量というのはビールでは1日中瓶1本、日本酒なら1合、ウイスキーはダブルで1杯程度。
この量でストップできる自信があるなら、試してみる価値はありそうです。
しかし、アルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪の合成を促進させてしまいます。
すると脂質異常症の原因になったり、LDLコレステロールの小型化を招いたりと、いいことはありません。
ちなみに中性脂肪を増やすのは揚げ物の油や肉などの脂質だと考えがちですが、実際にはほとんどが糖質とアルコールです。
糖質は、身体のエネルギー源となる重要な栄養素ですが、過剰摂取は禁物なのです。
また、オリーブオイルやアーモンド、マカダミアナッツなどに含まれているオレイン酸は、HDLコレステロールを減らさずにLDLコレステロールだけを下げると言われています。
ちなみにアーモンド100g中には、31mgという豊富なα-トコフェロールが含まれています※。
ビタミンEは4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールに分けられますが、そのなかでもα-トコフェロールは、非常に抗酸化作用が強い成分です。
また、乳酸菌とカテキンの両方を摂ると、LDLコレステロールが減るという報告もあります。
冒頭で挙げた「イカ、タコ、エビ、貝類」は、最近ではコレステロール値を下げるという説の方が主流になっています。
また、これらに含まれるタウリンの健康効果も無視できません。
卵は8種類の必須アミノ酸を含んでいるほか、卵黄に含まれるレシチンには血管を強くしたり、血中の余分なコレステロールの沈着を防いだりする作用があると言われています。
要するに、せっかくのごちそうである「卵がタップリ使われた“ふわとろ”のオムライス」や「イカやエビがふんだんに盛られた海鮮丼」を我慢する必要はない!
・・・と言うことです。
健康な人の場合はコレステロールの摂取量を気にしなくていい、というのが「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の趣旨ですが、高LDLコレステロール血症患者の場合に当てはまるわけではない、と日本動脈硬化学会は指摘しています。
厚生労働省もLDLコレステロール値が高い状態を危険視しているのは同様です。
ということは、高LDLコレステロール血症と診断されてはいなくてもLDLコレステロール値が上限に近い人はどうなのでしょうか。
やはり暴飲暴食を控える、運動不足を解消するなど、トータルでの生活習慣の改善が必要と考えるのが正しいようです。
具体的なポイント・・・
・アルコールや糖質の摂り過ぎを抑える
・食べ過ぎを控え、バランスのとれた食生活を実践する
・1日9000~1万歩程度のウォーキングなど、適度な運動を行う
・体重を適正に保つ
といった点に気をつけることが重要です。
「お腹いっぱいで幸せ」という状態は健康にとっては不幸せな状態かもしれませんし「スイーツは別腹」という言葉は封印したほうが無難でしょう。
体重に関しては、毎日同じ時間に量って推移をチェックするだけでも効果があります。
体重体組成計では体脂肪レベルを確認できる機種がありますので、併せて参考にするといいのではないでしょうか。
《《《 おわり!