■「アディポネクチン」と似た働きが期待されている「オスモチン」!

「アディポネクチン」は大阪大学医学部の松澤佑次教授(当時)によって、1996年に発見されました。

そして東京大学大学院医学研究科糖尿病・代謝内科の研究室によって、2003年にホルモンであることが明らかになっています。

ホルモンとは、体の中で産生されて血液で運ばれ、特定の組織・器官にあるホルモン受容体と結びつくことで作用する物質のことです。

例えばコレステロールは、体内で作られ血液によって運ばれ、ホルモンの原料となったり細胞膜を作る材料となったりしますが、受容体で特定の組織と結びついて働くわけではありません。

したがって、コレステロールはホルモンではありません。

これに対して「アディポネクチン」は、脂肪細胞で作られ血液で運ばれ、骨格筋や肝臓、脂肪組織にある「アディポネクチン受容体」と結びついて作用します。

この受容体を発見したことによって「アディポネクチン」がホルモンであると証明されたのです。

受容体というのは、いわば「鍵穴」のようなもので、ホルモンはその鍵穴にピッタリはまる「鍵」と言えます。

そこで今、注目されているのが「オスモチン」という物質です。

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「アディポネクチン」と構造が非常に似ているため、「オスモチン」がこの鍵穴にピッタリと結びつくことができると言われているからです。

「オスモチン」が「アディポネクチン」と同じ働きをするのかどうかは研究段階ですが、筋肉にある酵素、「AMPキナーゼ」を活性化することは解明されており、糖や脂肪の代謝をアップさせてくれます。

今後「オスモチン」のさらなる作用が明らかになれば、もっと注目されることは間違いありません。

その理由の一つは、日本人は遺伝的に「アディポネクチン」の分泌が少ない人が多いからなのです。

太っていないのに「アディポネクチン」の少ない人が、30~40%程度いるといわれています。

そのため「アディポネクチン」だけに期待するのではなく「オスモチン」が代わりになってくれれば理想的なのです。

「オスモチン」は植物に含まれているたんぱく質で、フィトケミカルの一種です。

特に、リンゴやキウイフルーツ、サクランボ、ブドウなどの果実やピーマン、唐辛子などに含まれています。

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「アディポネクチン」が動物由来なのに対して「オスモチン」は植物由来の成分なのです。

ただし、果実類は食べ過ぎると内臓脂肪を蓄積させる原因になることもあるので注意が必要です。

内臓脂肪が増えると「アディポネクチン」の分泌を減らすことになる危険性もあるので、バランスのとれた食事が重要です。

《《《 次回(明日)最終回は「アディポネクチンを増やすためには?」についてご紹介します。お楽しみに!