■治療と予防で知っておきたいこと!
大動脈瘤と大動脈解離は、X線検査や超音波検査で見つかることもありますが、CT検査を受けると、患部の正確な場所や大きさなどを判断することができます。
大動脈瘤が発見された場合は、破裂する前に薬(降圧薬など)で治療するか、手術で「人工血管」に換えるかの2つの治療方法があります。
大動脈瘤のある場所や大きさなどによって破裂の危険性が異なり、また治療方法も違うので、医師からよく話を聞くようにしましょう。
破裂前の手術にもリスクはありますが(0.5%程度)、もしも破裂した場合(30~50%)と比較するとかなり低く、とくにカテーテル手術は体への負担が少なく、4~5日で退院できます。
===≫(参考)
カテーテル手術は、脚の付け根からカテーテルという細い管を通し、ステントグラフトという網目状の人工血管を折りたたんだものを患部まで送ります。
ステントグラフトは大動脈瘤などのある患部で広がって固定され、傷んだ血管の代わりをします。
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ただし、カテーテル手術を行う病院はまだ多くないので、その点も検討する必要があります。
大動脈解離の場合は、患部そのものへの治療と、さきほど紹介した内膜が破れてほかの動脈をふさぐ危険を防ぐための治療とがあります。
この場合も患部の場所や大きさによって、薬による治療と手術との選択肢があります。
合併症などの危険性もあるので、手術するかどうかは医師とよく相談しましょう。
大動脈解離の場合も、カテーテル手術は可能です。
予防については、大動脈瘤も大動脈解離も第一の原因は高血圧なので、日常の血圧管理がとても重要です。
血圧が高いと、それだけ血管への負担が大きくなり、大動脈瘤ができやすく、内膜の亀裂も起こりやすいからです。
また、高脂血症や糖尿病などを併発していて、動脈硬化を起こしやすい人は、血圧を中心にコレステロールや血糖値を含めて、きちんとコントロールすることが予防につながります。
そのためには食事の内容や運動はもちろん、アルコールの飲みすぎや喫煙習慣にも注意が必要です。
すでに動脈硬化の可能性がある人は、医師の指導を受け、生活全般にわたって見直すようにしましょう。