年末はお酒の飲み過ぎに要注意!(最終回)

■理性があるうちに自分への約束事を決めておく!

血中アルコールの濃度が高くなると、「お酒に酔う」という状態になり、顔が赤くなる、おしゃべりになり声が大きくなるなどの変化が現れます。

_20181226_132237


この時、脳の中では、理性や判断をつかさどる大脳皮質の活動をコントロールしている部分がまひしています。

さらに視力が低下し知覚や運動能力に影響します。

飲酒は少量でも理性をなくす可能性があり、お酒を飲み始めると少量にとどめることが難しくなります。

お酒を飲み過ぎないためには、飲酒をしていない状態、つまり理性がしっかり働いているときに自分への約束事を決めておきましょう。

具体的には.....

・忘年会に出席する回数を少なくする

・二次会には出席しない

・帰る時間を決めて家族に迎えに来てもらう

・帰りの電車を決めて有料の座席をとっておく

・早く閉店する店で飲む

.....など回数や時間的な制限を自分に合った方法で考えておきましょう。

所持する現金を一次会の分だけにするなど物理的な方法も有効かもしれません。

また、体内へ入れるアルコールの量を減らすためには、以下を実践するといいでしょう。

・ゆっくり飲む

・食べながら飲む

・合間に水を飲む

・濃いお酒は薄めて飲む

・ちゃんぽんはしない

・できるだけ小さいグラスで飲む

気の合った仲間たちとお酒を飲む時間は、大変楽しいものです。

しかし、それは健康があってのこと。

お酒で健康を害してしまっては、仲間との楽しい時間も過ごせなくなります。

飲酒の健康被害を認識した上で、自分に合った健康的な飲み方のスタイルを考えてみましょう。

年末はお酒の飲み過ぎに要注意!(その2)

■飲酒は副次的な健康被害や社会的な影響も!

飲酒そのものが健康被害を引き起こすだけでなく副次的な健康被害もあると報告されています。

_20181226_132237


米国の研究によると、飲酒をすると眠る前に何かを食べる可能性が高いことが明らかになっています。

特に塩味のスナックやピザなどジャンクフードを選ぶ可能性が高いと報告されています。

緑黄色野菜など健康的な食品は少なあようです。

日本でもお酒を飲んだ後に、ラーメンを食べるなど「シメ」の習慣があります。

飲酒により塩分過多、カロリーオーバーといった生活習慣病のリスクが高くなる食品を選ぶ傾向が、米国の研究と同じようにあるようです。

アルコールだけでなく、このような副次的な健康被害も再認識しておきましょう。

また、飲酒は交通事故や暴力など社会的な悪影響の危険因子でもあります。

酒に酔ってふらついたり、路上に寝そべって車と接触する、いわゆる路上寝こみによる交通事故が各地で報告されています。

暴力も問題です。

飲酒をすると、脳が攻撃的になることも研究で明らかにされています。

低用量のアルコールでも、脳の攻撃性を調節して抑えている部分の働きが変化すると報告されています。

次回、最終回は「理性があるうちに自分への約束事を決めておく!」についてご紹介します。
お楽しみに!

年末はお酒の飲み過ぎに要注意!(その1)

■お酒の飲み過ぎは寿命を縮め重大な病気の引き金に!

忘年会や新年会など、年末年始は飲酒の機会が増えてきます。

お酒の飲み過ぎは体に悪いとわかっていても、飲酒の回数が増え、深酒に陥りやすい季節です。

_20181226_132237


しかし、飲酒は精神疾患、心血管疾患、肝硬変、がんなどの主要な危険因子であることがわかっています。

また、WHOの報告によると、本人の健康だけでなく交通事故や暴力など、自殺なども含め、飲酒に関連した死亡はすべての死の3.8%を占めると報告されています。

2010年には「アルコールの有害な使用を提言するための世界戦略」がWHO総会において採決され、世界的にも飲酒の低減が呼びかけられています。

年末年始は飲酒の影響を再確認し、お酒の飲み過ぎに注意しましょう。

わが国では生活習慣病のリスクを高める飲酒量を、1日の純アルコール摂取量で男性40g、女性20g以上としています。

純アルコール量は.....

・ワイン1杯(120ml)12g
・ビール中瓶1本(500ml)20g
・清酒1合(180ml)22g
・焼酎1合(25度180ml)36g

.....となっています。

女性は男性に比べてアルコールによる肝臓障害を起こしやすく、アルコール依存症になる期間も短いと報告されています。

また、世界19カ国からおよそ60万人の飲酒者の飲酒習慣と健康を比較検討した研究によると、週に純アルコール量200g以上の習慣的な飲酒は、寿命を1~2年縮め、週当たり360gを超えると寿命を4~5年の縮めることがわかっています。

アルコールは習慣性のある飲み物です。

飲酒の低減化に成功している人でも、度重なる飲み会がきっかけで再び習慣化するある恐れもあり注意が必要です。

次回は「飲酒は副次的な健康被害や社会的な影響も!」についてご紹介します。
お楽しみに!

お酒は少量なら健康に良いはウソ・ホント?(最終回)

■お酒とどう付き合うか?

前回までの結果を見て、私達はどのように生活習慣を変えればいいのでしょうか?

IMG_20181001_185821

 

第一に、好きでもないのに健康に良いからという理由でアルコールを少量飲んでいる人は止めたほうがいいでしょう。

健康へのメリットは思われているほどはっきりしたものではありませんし、癌やケガのリスクを高めてしまう可能性があります。

ではアルコールが好きで飲んでいる人(ほとんどの人はこちらだろう)はどうしたらいいのでしょうか。

自分自身へのリスクなどを総合的に判断して決めるべきでしょう。

近い親族に癌になってしまった人がいる遺伝的に癌のリスクの高い人は、アルコールの摂取量を最低限に抑えることをお勧めします。

過去にアルコール関連で事故やケガをしてしまった人も控えた方がよいでしょう(ランセットの論文で少量の飲酒でも病気のリスクが上がる原因は、カワゴエシだけでなく飲酒に伴う事故やケガも含まれていたため)。

もちろんアルコールを飲むことで人生が豊かになり、生活の質が上がるという人もいるでしょう。

人間は病気にならないためだけに生きているわけではないので、そのような人は適量、つまり1日1~2杯までに抑えてたしなむことがいいでしょう。

お酒は少量なら健康に良いはウソ・ホント?(その2)

■少量のアルコールでも癌のリスクを高める可能性!

2018年4月に同じく『ランセット』誌に掲載された他の論文では、83個の研究を統合して解析したところ、アルコール換算で週100グラムまでであれば脳梗塞や心筋梗塞による死亡のリスクは上がらないと報告されています。

IMG_20181001_185821


注意が必要なのは、アルコールで脳梗塞や心筋梗塞のリスクが下がっている(因果関係)のか、アルコールを飲んでいる人が脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低いだけなのか(相関関係)なのかはわかっていないということなのです。

遺伝的要因によってアルコールが飲める人と飲めない人がいるし、アルコールを飲むと具合が悪くなる人は飲酒量が少ないのは当然です。

もしアルコール耐性の遺伝子を持っている人ほど脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低いのであれば、アルコールを少量飲んでいる人ほどリスクが低くなるように見えてしまうことはありえると過去の研究から指摘されています。

その一方で、アルコールはたとえ少量でも癌(特に乳癌)のリスクを上げる可能性は以前より報告されていました。

要は少量のアルコールが健康に良いかどうかは、動脈硬化への影響と癌への影響の「つな引き」で決まるということでなのです。

今回の研究はこの2つを組み合わせると健康への影響がどうなるのかを分析したものなのです。

今回『ランセット』誌に掲載された論文は、世界195カ国で実施された592の研究を統合した、それこそ大規模な研究で、心筋梗塞や乳癌を含む23個の健康指標へのアルコールの影響を総合的に評価したものでした。

この論文では、1日1杯ではほとんどリスクが上昇しておらず、1日1杯以上になるり、飲酒量が増えるに従い、病気になるリスクが上昇しているように報告されています。

ちなみにここでの1杯とは、純アルコール換算で10gのことを指しています。

10gの純アルコールはグラス1杯のワインやビールに相当します。

●最後は自分自身のリスク要因で決める!

論文によると、健康リスクを最小化する飲酒量に関して、最も信頼できる値は1日0杯であり、95%の確率で0~0.8杯/日の間に収まるという結果でした。

この結果を受けて「最も健康に良い飲酒量はゼロである」と主張している人も多のですが、一般的には「1日1杯までであればリスクは上昇しない」と解釈してもいいのではないかと思われます。

病気ごとで見てみると、心筋梗塞に関しては、少量の飲酒をしている人ほどリスクが低く(男性では0.83杯/日、女性では0.92杯/日の飲酒が 最もリスクが低い)、ある程度以上になるとリスクが高くなるのがわかります。

一方で、女性のデータを見ると乳が癌や結核は、少量からリスクが上昇しているのがわかります。

男性のデータもほぼ同じパターンでした(男性の場合は乳癌の代わりに口腔癌のリスクが上昇)。

つまり、1日1杯程度の少量のアルコールの場合、心筋梗塞や糖尿病のリスクが低いことと、乳癌や結核のリスクが高いことが打ち消しあって、病気のリスクは変わらないという結果になっていると考えられます。

次回、最終回は「お酒とどう付き合うか?」についてご紹介します。
お楽しみに!
人気ブログランキング
↑↑↑↑↑↑↑↑
クリックして応援お願いします!
最新コメント
記事検索
無料レポート
カテゴリー
  • ライブドアブログ